2016年12月31日

未来へ。(2016年の年の瀬の挨拶)

2016年も1年間お疲れ様でした。
鹿島よりの便りに始まり、思いもよらない成績、スペイン人監督の衝撃、主軸ほぼ残留という感動。
1年間様々なことがありました。
私は味に行っても、九州アウェーに行っても悲惨な試合というもう踏んだり蹴ったりな年でしたが。
それでも来年が楽しみなのは、もう染み付いているんでしょうね、ヴェルディが。
来年も折を見て味スタへ、それと九州アウェーへ赴こうかと。
来年はレベスタもありますしね!行きやすい日取りでありますように。
皆様、2017年もよろしくお願いします。。
以下、続きを読むとポエムです。
6000字ほどありますがよろしければ……










2016年シーズンは、東京ヴェルディにとって期待値の高いシーズンだった。
2015年シーズン。近年の低迷から期待値の低かったチームは、若い力の奮闘に引っ張られ大きな成果を出した。
結果は8位とプレーオフを逃す形とはなったものの、前線の若い陣容の走力と技術を生かした爽やかなフットボールは方々から好評価を獲得。
ヴェルディはいよいよ、2010年の経営委譲以来取り組んできた育成の収穫のときを迎える。
その向きは決して少なくなかったはずだ。
だが蓋を開けてみればどうだろう。
2016シーズン、東京ヴェルディは苦しんだ。
結果を見れば18位。得点数は伸びず、いたずらに失点数だけが積み上がっていった。
内容面はといえば凡庸そのもの。
無駄なプレス、お粗末なビルドアップ、仕掛けられず、仕上げられないフィニッシュ。
攻めきれぬ間に簡単な攻撃で失点し、頭を垂れる。
どうして、こうなってしまったのか?
シーズンが終わり、すぐにミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の就任が発表された。
望外の選出だったといえる。
金銭的には問題はなかっただろう。
スペインでは経営的に苦しいクラブを渡り歩いてきており、本人の弁ではキプロスでも経営の問題に巻き込まれたという。
編成作業も順調だ。10番の高木善朗まで残留を決意したのだから、強化部の今年の仕事を評価するなというのは難しい。
選手達も意気揚々だろう。
それでも。
この2016年シーズンの苦闘を思えば、ポジティブにいこう、というわけには行かない。
もがき苦しみ悩んだ果てに、何かを見つける事ができただろうか。
ここでただ単にリセットするだけに終わり、繰り返すのか。
進歩のために新しいものを取り入れていく姿勢を手に入れられるのか。
そのためにも2016年を振り返らなければならない。

大きな失敗はプレシーズンから始まっていた。
今シーズン、冨樫監督率いるコーチングスタッフ陣が想定していた布陣は4-1-2-2-1。
ニューイヤーカップの札幌戦でこの形で入ったことに驚きはなかった。
2列目の人員が多く、一方で三竿の移籍で中盤のサイズ不足は明らか。
それならセンターを3枚にすることで、中盤の枚数を厚くしサイズ不足を補うこと。
澤井やアランら推進力のある選手を活かすこと。
4-3-3は発想として出てくるのは当然だと考えていた。
内容は芳しくなかったものの、杉本竜士のゼロトップ等、新しい発想への適応に戸惑うことは想定内であったし、その中で最低限の結果を手にしたことは、悪くない成果だと感じた。
琉球戦、突然の3バック。
迷いだ。
チームは、始動から迷っていた。
理想の形を見出せず、あれこれといじくり倒した。
FC東京戦。シュート2本。
帰還後の練習試合。結果が芳しくない。
間に聞こえてくるのは、4-2-2-2だ、4-1-2-1-2だ、布陣変更の嵐である。
2016シーズンの東京ヴェルディとは何者か。
アイデンティティが定まらぬまま、シーズンに突入してしまった。
指揮官が迷えば、チームも迷う。
どのようにプレーをすればいいか、選手達は見失っていた。
もちろん、全てが指揮官が悪いというわけではない。
既に試合に出ている選手達である。何も知らぬ赤子ではない。
それでも、戦い方が定まらないチームでは、難しい状況に陥ることは避けられない。
シーズン前半戦、若手が苦しむ。
高木善は高い期待に応えられずにいた。
澤井は、屈辱の途中出場途中交代を味わっていた。
前年二桁得点の南も、プレーに惑いが見られていた。
J2を14試合3クールと捉えると、今期ヴェルディが完封負けを喫したのは12試合だったが、そのうちの半数、6試合が第1クールの14試合の間に詰まっている。
シーズン序盤、ヴェルディが躓いたことは誰の目にも明らかだった。

序盤戦、チームにとって欠かせない存在になっていたのは高木純平だった。
1月の始動直前に加入した今年で34歳になるミッドフィルダーは、序盤戦にセンターハーフの定位置をつかんだ。
2015年、中後雅喜と三竿健斗の中盤のタンデムは素晴らしい働きを見せた。
しかし、お互いに3000分以上の出場と、この2人に代わる選手がいなかったのも事実。
三竿の退団を抜きにしても中盤セクションは強化の必要があった。
ところが、金銭的な問題もあったかもしれないが、チームは要の強化に大きく失敗してしまう。
ユース育ちでレンタルバックを果たした楠美がニューイヤーカップ初戦でスタメンを掴んだ。
しかし、プレシーズンの間に信頼を得られなかったのか、シーズン開幕のときには姿がない。
タイから帰還を果たした船山は、両膝に爆弾を抱えている状況だった。
船山のパフォーマンスは悪くなかったように見える。
サポート意識の高さ、左足のキック。魅力は確かにあった。
しかし、31歳で引退を決意。
膝の状況がもはや限界だったという。
これほど状態が良くなかった選手を中盤の主軸候補として迎えたのは、失策だっただろう。
東京ヴェルディは、中盤を軽視する傾向が強い。
もっと言えば、1人の選手に依存しがちなところが悪い伝統として残ってしまっている。
ラモス体制では菅原智の帰還が大きな力になり、川勝体制では佐伯直哉が中盤の大事な要として君臨した。
一方、彼らが居なくなるとどうだっただろうか。
記憶に新しいところでは、佐伯直哉不在時の苦闘だろう。
ポジション、役割を代われる選手は常に居た。
だが、代役というだけで、チームの輝きの低下は目を覆うもの。
ポジティブな意味では、それほど佐伯が優れていたということだが、チームの守備力の個人の能力への依存度の高さは、低い組織力の証明でもある。
今シーズン、高木純平が重宝されたのはチームを繋ぐ能力を買われてのことであるが、組織作りを個人に託すことの不健全さは、終ぞ冨樫体制でも変わらなかった。

中後が負傷から戻ったことで、高木純平は一端中盤からフェードアウトすることになる。
しかし、ベテランのユーテリティプレーヤーは、その後右サイドバックでプレーするなどチームにとって大事な存在となった。
直前に補強した選手がこれほど良い地位を手に入れるのはうれしい誤算だ。
一方で、もし高木純平が市場で浮いていなかったらと思うと、少し寒気を覚える。
今オフ、既にセレッソ大阪から橋本英朗の獲得を決めた。
多くのポジションをこなすプロフェッショナルなベテランは、中盤の構成力を大いに高めてくれるはず。
さらにハードワークと技術でチームを繋ぎ合わせることができる梶川諒太の帰還も成し遂げた。
ディフェンスと中盤を兼ねるガンバ大阪の内田達也の獲得も達成した。
中盤の選手層の向上は、パスワークを身上とするチームならば本来備えていなければならないもの。
チームは、今年の編成でポゼッション志向でありながら中盤軽視の歪な状況から脱出する足がかりを得る事ができるかどうか。
2017年の注目したい点の1つである。

さて、第2クールになると多少チームの成績は上向いた。
得点が取れるようになってきたのだ。
この第2クール14試合、17得点を挙げ、完封されたのは3試合だけだった。
しかし、波に乗れない。
失点が止まらなかった。クリーンシートはまさかの2試合。
第3クールも同様。完封されたのは3試合で、16得点。
もし14試合10得点に終わった第1クールでも同様の得点力を発揮できていれば、50ゴールと数字上は悪くない結果に終わっていた可能性もある。
これはプレーオフを争った町田、京都、横浜FCと同水準のものである。
しかし、失点も止まらなかった。
結局、今シーズン記録したクリーンシートは6個のみ。
2015年が15個記録したので半減以下と、チームの成績の低下の大きな原因となった。
井林の相棒問題の解決の失敗もあった。
佐藤の移籍に対応できないこともあった。
イムは帰った。
しかし、個人の問題だけに帰結して終わりで済ませては進歩はない。
井林もいつか居なくなる。
佐藤のようなキーパーが居ないシーズンもあるだろう。
帰る選手だってまた出てこないとは言えない。
もちろん、個人の能力が高ければチームの力が高まるのは当然。
しかし、いくらなんでも守備の部分の個人能力への依存度が高すぎではないか。
もっとチームとして戦わなければならない。
戦術以前の意識の問題として、もっとチームで戦うということを目指さなければならない。
簡単な言葉で言えば、もっと助け合わなければならない。
選手達に助け合うという意識がない、とまで言いたいわけではない。
選手の意識の部分まで言及するには、チームの内情を深く深く知らなければならず、例え知っていたところで言うべきことでもない。
ピッチ上の現象として、個人の技量に頼りすぎではないかということ。
今年のチームは確かにミスが多かった。
しかし、ミスをした選手へのサポートは十分だっただろうか。
ディフェンスラインの選手がプレスに晒される中、多くの選手が前でボールを待つ形となり、結果として奪われたシーンは数えるほどあった。
チームで避けられるミスは、避けなければならない。
ポゼッション時のサポート体制、スピードアップのときのスペースメイク、守備のときの連動、最終勝負のときのスプリント。
より言及するなら、パスは回るが出口が見つからずに詰まるビルドアップは、個人のパススキル、視野に頼らない基本の形を持つ必要があるだろう。
組織として戦ったときに、それでもなお何かがあるならそのときは個人の問題を考えるとき。
結果が出なかったからこそ、そして外からの風が入ってきている今こそ、改革を成し遂げたい。
2017年は、個人に依存しすぎないヴェルディが見たいと、願っている。

新監督にはロティーナ氏が就任する。
人柄は温厚。相手に合わせて様々な形を用意する戦術家。
一部では守備的な監督がゆえ、ヴェルディがついに舵を切ったと言われているが、そうは思わない。
前任の冨樫氏も、暖かいキャラクターで親しまれた。
4-4-2から3-4-2-1、4-1-4-1や4-1-2-1-2等様々な形を使って相手を上回ろうとしてきた。
明確に違うのはキャリアの厚みか。ロティーナ氏が圧倒的に上回っているのは疑いない。
冨樫氏が本当にやりたかったことを、より経験豊富なロティーナ氏で実現したいというのが本筋だろう。
不安なのは、欧州系の監督は大火傷をすることも少なくないことか。
オランダに帰ればカンブールとヘーレンフェンでそれなりの結果を残したドワイト氏も、ジェフでは途中解任の憂き目にあった。
全くフットボール文化が違う国で、それぞれのやり方が通用するのか、という懸念はある。
しかし、トップチームの表層を考えればドラスティックな改革ではなく、発展的な人事とも想定できる。
では、もっと深いところではどうだろうか
スペイン紙のインタビューでは、育成やコーチングについて影響を与える事を期待されているとロティーナ氏は語っている。
これまで南米流儀で生きてきたチームに、欧州の“機能”が持ち込まれる。
これはチーム哲学に変更を加える、極めて重大な事案だ
特に育成の部分に欧州流儀が持ち込まれるとしたら大変な改革となる。
もちろん、今のご時勢欧州のスタンダードから目を背けることはできない。
いずれ遭遇し、咀嚼し、物にしなければならないということは避けられないもの。
しかし、それをトップチームの監督を変更することで成し遂げられるのかというと話は別。
例えば、チーム全体の軋みが、トップチームにしわ寄せとしてやってきたとき。
また、トップチームが結果を出せずに監督を追われたとき。
あの監督ダメだったなと語られるようになってしまったとき。
スタンダードを取り入れるという作業が中断するどころか、断絶する危険も孕んでいるのではないか。
断絶が発生すれば、しばらく時代から取り残されるという大きなリスクが発生するだろう。
そこまで考えて託したのか、という点が全くもって不明瞭である。
果たしてその危険を理解しながらもここでやるべきと改革を託したのか。
フロントの意図が未だにつかみかねる点が大いに懸念される。
育成を改革し、ヴェルディから世界に羽ばたく選手を生み出すために。
マネジメント側は組織に起こるだろう様々なズレを覚悟を持って飲み込んでいけるのかどうか。
その点を厳しく見ていかなければならない1年になるだろう。

冨樫氏は海外へ行くという。これまでずっとヴェルディのために貢献してくれた氏が、ようやく自分のための時間を手に入れる。
良い時間を過ごしていただきたいし、可能ならば再びチームに舞い戻ってきていただき、この時間で得たものを還元してくれれば、チームにとってこれ以上のものはないだろう。

さて、ロティーナ氏が監督になろうと、選手が入れ替わろうと、取り戻さなければならないものもある。
ヴェルディらしさだ。
この1年、様々なものがヴェルディらしさではないかと浮上した。
海江田氏のWEBマガジンでの選手達の発言、サポーターの考え、様々なものを見聞きしたとき。
ヴェルディらしさとは“こだわり”の1語で集約できるのではないかという考えに至った。
技術へのこだわり。
勝利へのこだわり。
育成へのこだわり。
2016年はどうだっただろうか。
いくらかの選手の声を聞くと、どうにもこのこだわりの部分に弱さを感じているようだ。
2017年。今一度色々なことにこだわってほしい。
トラップ1つパス1つ。
もっといいプレーがあるはずだとこだわってほしい。
そして勝利。
勝つことに拘る、できれば美しく勝つことに拘る。
1-0は美しい。
届きそうで届かない1点の差。その1点の差が作る勝ち点3と0のコントラストは煌びやかだ。
2-0もまた美しい。
勝ち点を欲した相手をいなし、脱力へいざなう2点目を奪い取る行為は残酷だ。
3-0は素晴らしい。
3点を取るほどの攻撃、そしてそれだけの差がついても緩まない守備。全てが噛みあった結果だ。
4-0になると興醒め。
そこまでのスコアは、力の差があろうとそうあるものではない。
無失点での勝ちは美しい。
緻密な守備組織、確実なボール保持、そして強い気持ち!
全てがそろわなければ、無失点で勝ち続けることはできない。
2017年、2016年には6個しか記録できなかったクリーンシートに拘ってほしい。
クリーンシートにはフットボールに大事なことが詰まっている。
ただ守備的に戦えばいいという話ではない。
博打的なリトリートで簡単に積みあがるならば、多くのリーグでもっと下克上が起こっているはずだ。
全ての試合で、最高の準備と実践を。
1試合1試合、素晴らしい戦いが出来れば、42試合後に待っているものは必然、喜ばしいものだろう。
応援する側にとっても、こだわりは重要だ。
トップチームでプレーする選手達の多数は、下部組織からチームを構成するこだわりが生み出した宝石だ。
そして、その選手達にはプレーにこだわりを持つという伝統がある。
育成やプレーへのこだわりが、ヴェルディに人を惹きつける。
大体ヴェルディを応援すること自体、だいぶ拗らせていると言えないだろうか。
こだわりを好む人たちが、こだわるクラブを応援する。なんて素敵な話!
2017年、こだわりでヴェルディはきっと蘇る。それでは、良いお年を。




posted by 鍵銛右京 at 18:00| 日記 | 更新情報をチェックする